ケールは、地中海沿岸を原産とするアブラナ科の野菜で、見た目は異なりますが、キャベツやブロッコリーの仲間です。「野菜の王様」と称されるほど、ビタミンとミネラルを豊富に含んでおり、青汁の原料として使われています。日本には300年以上前に渡来したとされていますが、青臭さと苦みが強いという特徴が日本人の嗜好に合わず、これまであまり栽培されてこなかったと考えられます。しかし近年、青臭さと苦みが少ない品種が育成されたことや、健康志向の高まりにより脚光を浴び始めた結果、スーパーマーケットやファミリーレストランなどで目にする機会が増えてきています。特に、縮れた葉が特徴であるカーリーケールは、苦みが少ないため、サラダやスムージーといった用途で使われています。
ケールを栽培する際、春播きする場合は3~4月、秋播きする場合は7~8月に播種を行い、苗を作ります。植え付けは、播種からおよそ1か月後、本葉が5~6枚出た頃に行います。品種にもよりますが、株間は40cm前後が一般的です。収穫は、定植後50~60日ごろから可能で、随時下葉から手で収穫していきましょう。株が小さいうちに葉を収穫してしまうと光合成が十分に行えなくなり、その後の生育が悪くなります。そのため、収穫する際は葉を10枚程度残すようにしましょう。発生する病害虫はキャベツとほぼ同じで、べと病やアオムシなどが問題となりますが、登録農薬が少ないので、農薬に添付されているラベルをよく確認してから使用しましょう。
漠然と「苦い」、「青臭い」という印象を持たれている方が多いですが、食べるとその印象は変わると思います。生では青臭いと感じる人は火を通して食べてみてください。一層食べやすくなり、どんな料理に入れても美味しく食べることができます。日常で不足しがちなビタミンとミネラルが手軽に美味しく摂ることができるケール、是非一度お試しください。
【豆知識】
ケールは主に葉を食べる野菜ですが、実はつぼみも美味しく食べることができます。ケールは、他のアブラナ科野菜と同様に、春になるとつぼみが伸びてきます。つぼみは、茎の先端と葉の付け根から伸びてきます。このつぼみを花が咲く前に収穫することで、菜の花として食べることができます。2月頃からスーパーマーケットなどで見かけるようになる食用菜の花は、ほろ苦い味わいですが、ケールの菜の花はクセがなく、ブロッコリーの茎のような甘みのある味で、おひたしやスープなど、どんな料理に入れても合います。私は、初めはシンプルに塩ゆでにして食べることをおすすめします。残念ながら、ケールの菜の花は市場にはほとんど流通していないので、ケールを育てた人しか食べることができません。もしケールを育てる機会があれば、ぜひ一度召し上がってみてください。
(写真:カーリーケール(上)とそのつぼみ)