奈良新聞掲載記事集

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

多彩なキクの世界

 皆さんはキクという花にどのようなイメージをお持ちでしょうか。仏事やお盆、お彼岸といった仏花に使用される花だとお考えの方も多いのではないかと思います。しかし、実際には年間を通じて栽培、流通が行われており、日本の花き産出額の16%を占める重要品目のひとつとなっています。
 キクには様々な種類が存在し、来歴や花の大きさ、仕立て方によって分類されています。中国から渡来し、日本国内で観賞用品種として育成されたものは和菊と呼ばれ、これに分類される輪ギクや小ギクは、奈良県でも盛んに栽培されています。なかでも主に切り花として用いられることが多い品種群の夏秋期の小ギクで、奈良県は全国第1位の生産量を誇っています。一方で日本から渡り、欧米で品種改良されたものは洋菊、またはキクの学名であるクリサンセマムからとってマムと呼ばれます。スプレーマムは一本の茎から分枝し、小輪の花をたくさんつけるのが特徴で、切り花や鉢物として人気があります。また、クッションマムやポットマム、ガーデンマムと呼ばれる品種群は、鉢植え向きに品種改良されたもので、その中でもガーデンマムは、寒さに強いことから地植えでも育てることができます。
 花形も豊富な種類があり、一重の外弁に花の中心が盛り上がって咲くアネモネ咲きや、筒状の花弁が特徴のスプーン咲き、ボールのようにまん丸なポンポン咲きなどがあります。また、スプレー状にせず輪ギクのように脇芽を取り除くことで一輪咲きにするディスバッドという仕立て方もあります。
 このようにキクは花色や花形、品種が豊富で、庭や部屋を彩ってくれます。そんな豊かな表情を見せてくれることから、最近では仏花だけでなく、フラワーアレンジメントや贈り物としての利用も増えてきました。キクを見かけることがありましたら、その雰囲気や花の表情の違いに注目してみてください。

【豆知識】

 皆さんは菊花展という催しをご存じでしょうか。その起源が江戸時代にまで遡るこの催しは、観賞用の品種の菊を独特の仕立て方で栽培し、その美しさを競うものです。
 観賞用の品種は大菊・中菊・小菊と分かれ、さらに大菊の中でも、花弁が幾重にも重なり合って咲く厚物(あつもの)や、花弁が縦に丸まって中空の管状になっている管物(くだもの)、平らで幅広い花弁が特徴の広物(ひろもの)などの様々な品種群が存在します。また、品種だけでなく仕立て方にも三本仕立てや懸崖(けんがい)仕立てなど多くの種類があり、菊花展でしか見ることのできない仕立てや展示方法も多く、皆さんを魅了するものが見つかることと思います。
 菊花展は、秋が深まっていくこれからの時期に全国で開催されます。奈良県においても、平城宮跡や橿原神宮で毎年開催されておりますので、ぜひ一度足を運んでいただき、秋の風情を感じてみてください。(写真:様々な花形のスプレーマム)

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令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

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平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。