奈良新聞掲載記事集

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平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

植物の色素

  植物の花・葉・実の豊かな色は昔から人々の眼を惹きつけ、食の中に取り入れられています。花では、紅花の黄色や赤色を和菓子の色付けにしたり、葉では、赤シソを梅干しの発色に利用したり、実では、クチナシの黄色を栗きんとんの色付けに用いています。今回は、このような植物の花・葉・実の色を構成する主な色素についてご紹介しましょう。
1)クロロフィル(緑)
 植物の葉の緑色はクロロフィルで、葉緑素とも呼ばれています。光を吸収し、糖の合成を行う光合成の働きを担っています。
2)カロテノイド(黄~赤)
 クチナシの実の黄色はカロテノイドです。クロシンやクロセチンという色素が主成分です。また、ニンジンに含まれるβーカロテンやトマトのリコピンのように、橙色や赤色のカロテノイドもあります。最近、機能性表示食品として注目されているウンシュウミカンの果実に含まれるβークリプトキサンチンもカロテノイドで、骨代謝の働きを助ける効果があると言われています。
3)フラボノイド(赤~紫~青、黄~橙)
 ブルーベリーに多く含まれいる青~紫の色はアントシアニンで、眼の疲れに効くと言われています。赤しその赤色もアントシアニンです。このように、アントシアニンには赤~紫~青と様々な色素があります。また、紅花などの花の黄~橙色の色素であるカルコンも同じ仲間です。
 農業研究開発センターでは、県内の農産物を使って特色ある加工品を開発するにあたり、色に注目して、大和の伝統野菜である「下北春まな」の赤系統を育成しました。この赤系統は、葉と茎が赤紫色で、この色素を分析したところ、アントシアニンであることがわかりました。このアントシアニンは酸性の液で赤紫色になり、アルカリ性の液で青色となります。この特徴を活かし、クエン酸などの酸を使った赤色の漬け菜などの加工品ができます。

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【豆知識】

植物の色が発色するしくみ
 光は様々な波長の集まりであり、人が色として認識できるのは、可視領域の波長(380~750nm[ナノメートル。10億分の1メートル。])のものです。これよりも短い波長(紫外線)や長い波長(赤外線)の光は、色として認識できません。例えば、カロテノイドは380~570nm領域の紫~青~緑色の光を吸収するため認識できませんが、反対に残りの黄~赤色(570~750nm)の光は反射して人の眼に入り、色として認識されます。
 春や夏には木の葉は緑です。これはクロロフィルの色です。秋になると葉は黄色くなります。これはカロテノイドの色です。カロテノイドは春から夏にも存在するのですが、クロロフィルの緑色に隠れて見えません。しかし、秋になるとクロロフィルは役割を終えて分解され、黄色のカロテノイドが目立つようになるからです。



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。