国内で流通するカボチャは、国産と輸入をあわせて20万トン以上(令和3年統計)で、青果物として一年中購入できます。カボチャは、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3種に大きく分けることができ、日本カボチャはねっとりとして煮崩れしにくく、西洋カボチャはほくほくとして甘みがあります。一方、ペポカボチャは色と形が様々で、食用のズッキーニのほか、ハロウィンで見かける大きなカボチャや飾りに使われる小さなカボチャもペポカボチャです。
ペポカボチャには、果肉を食べる一般的な食用カボチャと異なり、種子食専用の品種があります。農研機構北海道農業研究センターが開発した「ストライプペポ」です。「ストライプペポ」は、他のカボチャと違って、種に厚い殻がありません。果実から取り出した種は洗って乾かし、手で揉んで白い薄皮を除くと食材として利用できます。油を薄く引いたフライパンで煎り、ほんの少し塩を振って食べるのがお手軽でおすすめです。香りが良くナッツのような味わいがありカリカリとした食感も楽しめます。ケーキやパンの具材として利用できますし、県内飲食店ではかき氷などのトッピングにも利用されています。残念ながら、果肉は西洋カボチャのような甘みはなく、美味しく食べることができませんが、果実が大きいので、上手に種を取り出せば、ハロウィンの飾りなどに利用できます。食用に加工された種はインターネットでも販売されていますので、お試しください。
興味をお持ちの方は、奈良県大和野菜研究センター(宇陀市)で栽培した結果と栽培上の注意点を豆知識にまとめていますので、ご一読ください。なお、「ストライプペポ」の種子は種苗店で取り寄せることが出来ます。
【豆知識】
大和野菜研究センターで、「ストライプぺポ」を西洋カボチャと同じように栽培したところ、1株から3~6kgの果実が2~4個収穫でき、1個の果実からは50~110gの種が得られました。果実が大きいほど、多くの種を得ることができました。種一粒の重さは、果実が大きくても小さくても変わりませんでした。
栽培上の注意点は、うどんこ病対策と収穫時期の見極めです。うどんこ病は、葉に白い粉のようなカビが生える病害で、畑の水はけを良くし、葉が密集しないように栽培して発病を防ぎましょう。使用できる農薬は、「ぺぽかぼちゃ(種子)」に登録があるものだけですのでご注意ください。収穫適期は、花が咲いて約60日後、果実が緑色から橙色に変わる頃です。強い日差しで果実の表面が火傷のように傷んだ時は、早めに収穫してください。収穫した後は果実の腐敗を防ぐために、風通しのよい場所で保管してください。
(写真:「ストライプぺポ」の果実)