チャは、ツバキ科ツバキ属の永年性常緑樹です。チャは古の時代から主に飲用され、楽しまれてきました。
チャは日本各地で生産され、「やぶきた」をはじめ様々な品種が栽培されています。昔は主にチャは種子から樹を生産していました。しかし、この方法だとチャ樹の性質が安定せず、摘採時期も樹ごとにバラバラになり利用しづらい状況でした。このことから同じ性質を持った樹を安定生産する研究が進められ、1936年に奈良県農業試験場(現奈良県農業研究開発センター)の押田幹太氏が挿し木繁殖の方法について発表しました。この結果、様々な品種が栽培できるようになりました。
では、どのようにしてチャ苗を増やすのでしょうか?現在の苗生産は、挿し木繁殖が基本となります。挿し木は6月頃に行う夏挿しと9月に行う秋挿しがあります。
夏挿しは、春に伸びた枝を採取し、葉を2枚残して清潔な挿し床に挿します。挿し木後は直射日光を避けるために、その上から寒冷紗などで支柱を用いてトンネル状に被覆をします。その後、乾燥に注意し、適宜かん水などの管理をすると、翌年の春には挿し木苗ができあがります。
秋挿しは密閉挿しという方法で行います。この方法は、挿し穂の準備等は夏挿しと同様ですが、挿し穂原料としては一番茶後の番茶摘採後によく伸長したものを選び使用します。穂を用土に挿した後は、保温とかん水の手間を省くことを目的に、挿し木床をトンネル状にビニール等で覆います。その上から夏挿しと同様に寒冷紗をその上部からトンネル状に覆います。苗は翌年の3月以降に確保できます。なお、密閉挿しの技術は6月の夏挿しでも使用可能ですが、夏の暑さによる葉やけ等に注意する必要があります。
チャの挿し木は方法さえ理解出来れば比較的簡単で、新品種の普及にも貢献していますが、品種によっては種苗法により権利が保護されているものもあるので注意が必要です。
【豆知識】
日本では、古くからチャは種子から樹を生産していたため、上記の不都合がおこりました。そのため、品種を作り生産を安定させることは必要不可欠でした。チャの品種育成は明治時代から始まり、多くの育種家(新しい品種を創造する人)たちが心血を注ぎました。
チャの品種として有名なものとして、まず「やぶきた」があげられます。「やぶきた」は日本で最も多く生産されている品種で、静岡県の在来種実生(種から生育した茶樹)茶園で発見されました。その他「やぶきた」などを親として交配(めしべに人工的に花粉をつけること)しできた種子から選抜した、「やぶきた」よりも1週間程度摘採(収穫)時期が遅く寒さに強い「おくみどり」など、多くの品種が誕生しました。
ただし、いい品種ができても増やすことが出来なければ意味がありません。この意味でも挿し木の技術がチャ生産の発展に必要不可欠であったといえます。
(写真:チャの育苗圃場(山添村))
