愛らしい姿に笑みがこぼれる。希望者が後を絶たない犬の形をしたお守りだ。人気の秘密はその姿だけではない。護持すると長寿を保つことができると伝わること、そして何より、尼僧らが一つひとつ手づくりするという有難さから。
お守り犬は、法華寺開祖の光明皇后の時代から脈々と受け継がれているもの。一千座の護摩供養を行い、その灰を清浄な山土に混ぜて、光明皇后自らつくられたとされる。病苦や災難の厄除けを願い、結縁の者に授けられたことが始まり。
製法は相伝。山土に護摩祈願の灰を混ぜ、こねて形成し4~5日かけて自然乾燥させる。その後、胡粉を着色して雲母粉で磨き、絵付けを行ってようやく完成。本尊に奉って祈祷したうえで授与されるのだ。実に手間がかかる。天気や季節によって出来が左右されるゆえ、記したものがない分、長年の勘を頼りに仕上げていくことは、尼僧とて至難なのだそう。まるで職人技だ。「今でもうまくいかない時が多いです」と副住職の樋口教香さんが微笑む。
現在は、樋口さんを含む2人の尼僧が一年を通して、お勤めの合間や深夜に、真心を込めてつくり続ける。精進念仏の結晶ともいえる貴重なお守りなのだ。
授与希望者は電話にて要予約。中3,300円、小2,000円。